学生が仮想通貨で稼いだら税金はどうなる?

2024.04.15 更新
仮想通貨の取引をして利益を得ている方は多くいます。この記事では学生がビットコインなど仮想通貨で得た利益の税金について説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶学生はいくらから税金かかるの?
収入が仮想通貨のみで45万円以下なら税金がかからない。45万円を超えると住民税がかかり始め、48万円を超えると所得税がかかり始める。
※市区町村によっては42万や38万から住民税がかかり始めます。くわしくは下記で説明しています。


▶確定申告はしなきゃダメ?
仮想通貨でお金を稼いだら基本的には確定申告が必要。ただし、アルバイトなどで給料をもらっている場合は仮想通貨の収入が20万円以下なら確定申告をしなくてもいい。
※くわしくは下記で説明しています。


▶いくらから親の扶養を外れるの?
扶養されている場合は103万円ではなく、所得48万円に注意。48万を超えると親の扶養から外れる。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
学生が仮想通貨で稼いでも税金がかかる?

学生がビットコインなどの仮想通貨でお金を稼いだときにも税金はかかります。したがって、仮想通貨でお金を稼いだ場合は確定申告によって税金を納めなければいけません。


ただし、1年間の利益がおこづかい程度なら税金はかかりません。

ビットコインなどの仮想通貨でお金を稼ごうとしている大学生などは、税金や確定申告などについてしっかりチェックしておくことをオススメします。

チェックポイント

▶仮想通貨の税金
収入が仮想通貨のみで利益が少なければ税金は0円。
※くわしくは下記で説明しています。


▶仮想通貨と103万の関係
仮想通貨の利益があり、親に扶養されている場合は103万の壁ではなくなるので注意。
※くわしくは下記で説明しています。


▶仮想通貨と確定申告
仮想通貨でお金を稼いだら基本的には確定申告が必要。
※くわしくは下記で説明しています。


仮想通貨はいくらから税金がかかる?
仮想通貨などの合計所得が45万円以下なら税金がかからない

学生でもビットコインなどでお金を稼げば税金がかかりますが、稼いだ金額があまり多くなければ税金はかかりません。

下記に「収益がビットコインなどの仮想通貨のみである場合」と「仮想通貨のほかにアルバイトもしている場合」で分けて説明しています。

仮想通貨取引をしている大学生などはチェックしておきましょう。

収入が仮想通貨のみの場合は?

現在学生であり、収入が仮想通貨の利益のみである場合は1年間(1月~12月まで)で45万円以下なら税金はかかりません。
※経費は0円としています。
※45万円を超えると住民税がかかります(住んでいる地域によっては42万円や38万円の場合があります)。
※48万円を超えると所得税がかかり始めます。
※未成年の場合は48万円以下なら税金がかかりません。雑所得については雑所得を参照。

※住民税がかかると住民税非課税世帯でなくなり、家庭によっては介護費用などが高くなる場合があるので注意しましょう。
アルバイトもしている場合は?

仮想通貨のほかにアルバイトもしている学生の場合は給与所得と雑所得(仮想通貨の利益)の合計が1年間(1月~12月まで)で45万円以下なら税金はかかりません。
※45万円の計算例については下記で説明しています。
※経費は0円としています。
※45万円を超えると住民税がかかります(住んでいる地域によっては42万円や38万円の場合があります)。
※48万円を超えると所得税がかかり始めます。
※未成年の場合は48万円以下なら税金がかかりません。雑所得については雑所得とは?を参照。

※住民税がかかると住民税非課税世帯でなくなり、家庭によっては介護費用などが高くなる場合があるので注意しましょう。
税金がかからない計算例
ビットコインなどの仮想通貨の利益があっても、その金額が多くなければ税金は0円になります。くわしくは下記でシミュレーションしていきます。

たとえば1年間(1月~12月まで)の給料が80万円、仮想通貨での稼ぎが20万円(雑所得)の場合。

まず、給与所得は、

80万円給与収入55万円給与所得控除 = 25万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
こちらのシミュレーションで給与所得の計算ができます。

となります。

つづいて、雑所得は、

20万円仮想通貨の収入0円経費 = 20万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※取引手数料などは経費となります。
※仮想通貨は雑所得になります。

となります。

したがって、あなたの合計所得金額は、

25万円給与所得 + 20万円雑所得 = 45万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。上記の場合、1年間(1月~12月まで)の所得の合計が45万円以下なので所得税住民税もかかりません。
※住んでいる地域によっては住民税が42万円や38万円からかかる場合があります。
税金がかからない理由はそれぞれ下記の記事で解説しています。
住民税がかからない?住民税が0円になるとき。
なぜ所得が48万円以下だと所得税は0円になる?

仮想通貨で収入があるときに確定申告が必要になるかについては下記で説明しています。

では次に、仮想通貨と103万の関係について下記で説明していきます。親に扶養されている方はチェックしておきましょう。

103万円の壁は仮想通貨の利益とは関係ない?

103万円の壁とは「親族の税金の負担が増すボーダーライン」のことをいいます。

収入が103万円を超えると扶養親族の対象から外れてしまうので、親族の税金が高くなってしまいます。
※あなたのことを扶養していた親族は扶養控除が利用できなくなり、親族の税金が約5~17万円高くなってしまうことになります。
※親に扶養されている場合に限ります。くわしくは扶養控除とは?を参照。



ただし、この103万円の壁とは「アルバイト等の給与収入のみ」で考えた場合のボーダーラインです。ここにビットコインなどの収入が入ってくると103万円の壁ではなくなり、話が変わってきます(合計所得48万の壁)。

103万じゃなくて合計所得48万に注意しないとダメ?

くわしく説明するために、まず合計所得の説明をしていきます。たとえば、バイト先の給料が103万円なら、合計所得が48万円になります(以下の計算例)。

合計所得48万円の計算例

103万円給与収入55万円給与所得控除 = 48万円給与所得(合計所得金額)
給与所得や給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。

所得が他になければあなたの合計所得金額は48万円となります。

この合計所得48万円という金額が上記で説明した「親の税金が増えるボーダーライン」であり、48万円以下ならあなたは扶養親族でいられるので親族の税金は増えません

ですが、あなたの1年間の合計所得が48万円を超えてしまうと親族の税金が高くなってしまうことになります。

つまり、上記で説明した「103万円の壁」とは、くわしく言い換えると「合計所得48万円の壁」ということになるわけです。
※2020年から38万円から48万円に改正されました(2024年現在も同様です)。くわしくはこちらのお知らせで説明しています。

親の扶養でいられるかシミュレーション

では、あなたが給料以外に仮想通貨の利益がある場合の合計所得をシミュレーションしてみましょう。

たとえば、アルバイトで1年間(1月~12月まで)の給与収入が50万円、1年間の仮想通貨の利益(雑所得)が53万円とすると、合計の収入は103万円になりますが、合計所得は以下のように53万円となります。

まず給与所得を計算

50万円給与収入55万円給与所得控除 = 0円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。


次に雑所得を計算

53万円仮想通貨の収入0円経費 = 53万円雑所得
※計算をわかりやすくするため経費は0円としています。
※雑所得については雑所得とは?を参照。



次に給与所得と仮想通貨の利益(雑所得)を合計

0円給与所得 + 53万円雑所得 = 53万円合計所得金額
※雑所得については雑所得とは?を参照。

上記の場合、「合計所得48万円の壁」を超えてしまっているので、あなたは扶養親族から外れてしまい、親族の税金の負担が約5万~17万増すことになります。
※収入が仮想通貨(雑所得)だけの場合、利益が48万円を超えると、合計所得が48万円を超えるため扶養から外れる。

したがって、現在あなたが大学生などで親の扶養親族になっている場合には「合計所得48万円の壁」に注意しましょう。


親に扶養されている子供が仮想通貨で稼いでいる場合
親に扶養されている場合、合計所得が48万円を超えると親の税金が増える

親に扶養されている子供が仮想通貨でお金を稼いでいるときに気をつけないといけないのは「扶養から外れると親の税金の負担が増してしまう」ことです。


仮想通貨で稼いだ金額がそれほど多くなければ問題ないのですが、合計所得が48万円を超えてしまうと扶養から外れてしまいます。
※2020年から38万円から48万円に改正されました。くわしくはこちらのお知らせで説明しています。


扶養から外れれば親の税金は年間約5万円~17万円増えてしまいます。
※親の年収によってさらに増える場合もあります。
※扶養から外れたときの税金などについては下記の記事で説明。


130万以上で社会保険の扶養を外れる?

たとえば仮想通貨の収入(雑所得)が1年間で130万円でそれ以外に収入がない場合、国民健康保険料は年間で約14万円になります。
※また、あなたが20歳以上なら国民年金の保険料も支払うことになります。国民年金の保険料は年間約20万円です(学生納付特例を利用すれば支払いの先送りが可能)。

現在、社会保険の扶養になっており、国民健康保険の保険料を支払いたくない場合は1年間の収入を130万円未満にしておくことをオススメします。

※経費は0円としています。
※ただし、定期的な収入(頻繁な売買やアルバイトの給料など)じゃなければ一時的な収入とみなされ、社会保険の扶養から外れない場合があります。くわしくは加入している保険組合にてご確認ください。
※国民健康保険については国民健康保険とは?を参照。
※保険料はこちらのページでシミュレーションを行いました。
※東京都世田谷区、年齢39歳以下、加入者1人としてシミュレーションしています。

では次に、確定申告が必要かどうかについて下記で説明していきます。基本的には確定申告をしたほうがいいです。

確定申告をする必要はある?
仮想通貨で利益があれば基本的には確定申告が必要

ビットコインなどの仮想通貨の利益があったときは基本的には確定申告をして所得の申告をすることになります。


ただし、アルバイトをしている学生の場合は仮想通貨の利益が1年間(1月~12月まで)で20万円以下なら確定申告をする必要がありません。
※給与所得と雑所得のほかに所得が無い場合。
※ただし、下記で説明するように確定申告をしない場合は住民税の申告が必要になります。


収入が仮想通貨のみの場合は?
学生の方は雑所得(仮想通貨の利益)が1年間(1月~12月まで)で48万円以下なら所得税が0円となります。
基礎控除によって所得税が0円になるため。

雑所得が48万円を超えた場合には確定申告をしなくてはいけません。

※親などに扶養されている場合、48万円を超えて確定申告をした場合には親が支払う税金が上がってしまうことになります。くわしくは上記の103万円の壁は仮想通貨の利益とは関係ない?で説明しています。

確定申告をしない場合、雑所得が48万円以下でも住民税の申告が必要になります。確定申告をした場合は住民税の申告は必要ありません。確定申告はネットで簡単に作成できるので、確定申告をすることをオススメします。確定申告のやり方は下記で説明しています。
※出典:国税庁確定申告が必要な方
アルバイトをしている学生は?
確定申告をしないなら住民税の申告が必要になってしまう

アルバイトをしている学生については雑所得(仮想通貨の利益)が1年間(1月~12月まで)で20万円以下の場合は確定申告をする必要はありません。
※給与所得と雑所得のほかに所得が無い場合。
※経費は0円としています。雑所得の計算式などは雑所得とは?を参照。


確定申告をしない場合、雑所得が20万円以下でも住民税の申告が必要になります(知らない人がほとんどだと思います)。確定申告をした場合は住民税の申告は必要ありません。確定申告はネットで簡単に作成できるので、確定申告をすることをオススメします。確定申告のやり方は下記で説明しています。
※確定申告をする場合は、20万円以下だとしても雑所得の申告をしなければいけません。
※出典:国税庁確定申告を要しない場合の意義
※出典:国税庁確定申告が必要な方

注意:親の税金が上がる?
給与所得と仮想通貨の利益の合計が48万円を超えて確定申告をした場合には、親が支払う税金が上がってしまうことになります。くわしくは上記の項目103万円の壁は仮想通貨の利益とは関係ない?で説明しています。


仮想通貨で稼いでいるときの確定申告のやりかた

今はネットでかんたんに確定申告書が作成できます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。


確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日のあいだに申告をしましょう。
※遅れても申告できますが、税金が加算される場合があるので注意しましょう。

仮想通貨の収入がある場合の確定申告のやりかた


確定申告のながれ
STEP❶収入を記入するための明細書など必要なものを用意する
※そのほかマイナンバーカードなども。
STEP❷確定申告書を作成する
STEP❸確定申告書を郵送する(税金を支払う)

くわしいやり方や手順は下記の記事で説明↓。
雑所得(仮想通貨の収入)があるひとの確定申告のやりかた

まとめ(仮想通貨の手取りは?)

ビットコインなどの仮想通貨取引で利益を得れば税金や保険料がかかります。仮想通貨による所得が多くなればそれだけ支払う税金などが増えます。

手取りを大まかに把握しておけば、税金等の支払いのために残しておかなきゃいけない金額も把握できるので、300万円や500万円などたくさん稼ぐつもりの方はチェックしておくことをオススメします。

※たとえば利益が100万円のとき手取りは約65万円になります。
仮想通貨の税金はどれくらい?利益10~1,000万円で計算

ここまで説明したように、学生でも仮想通貨でお金を稼いだ場合でも税金はかかります。

仮想通貨でお金を稼ごうとしている方は以下のまとめをチェックしておきましょう。

学生と仮想通貨まとめ

▶いくらまでなら税金がかからない?
仮想通貨で稼いだお金が45万円以下なら税金がかからない。
※くわしくは上記を参照。


▶アルバイトもしている場合は?
アルバイトをしている学生の場合は仮想通貨で稼いだお金と給与所得の合計が45万円以下なら税金がかからない。
※くわしくは上記を参照。


▶確定申告はしなきゃいけないの?
アルバイトをしている場合は仮想通貨で稼いだお金が1年間で20万円以下なら確定申告をしなくてもいいが、住民税の申告が必要になる。
※くわしくは上記を参照。


▶親に扶養されている場合は?
仮想通貨で稼いだお金(雑所得)は103万円の壁ではなく、48万円の壁になるので親に扶養されているひとは注意。
※くわしくは上記を参照。