アルバイトを3つ掛け持ちしている場合の社会保険や税金は?

2022.05.31 更新
パートやアルバイトなどを3つかけもちしている方は税金などの扱いが少し複雑です。この記事では給料を3か所の勤務先からもらっている場合の税金や社会保険などについてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
3ヶ所でパートやアルバイトをすると税金や社会保険はどうなる?

3ヶ所でパートやアルバイトをする場合、税金などの扱いが少し複雑になります。

アルバイトをしようと考えている個人事業主は税金や社会保険、確定申告についてしっかりチェックしておきましょう。

気をつけないと脱税等で罰則が与えられてしまう可能性があるのでチェックしておくことをオススメします。

この記事の要点(ポイント)

  • アルバイトをかけもちしている場合、給与収入を合計して税金を計算しなければいけない。

  • 社会保険は加入条件を満たしている職場で加入することになる。

  • 年末調整は主な勤務先で受ける。

  • 基本的に確定申告が必要ですが、収入が少なければ確定申告をしなくてもいい。

では最初に、アルバイトを掛け持ちしたときの税金の計算方法について下記で説明していきます。アルバイトをかけもちしている方はしっかりチェックしておきましょう。


それぞれの収入を合計しないとダメ?
3つの勤務先の収入を合計してから計算する

3つの職場でアルバイトやパートなどをかけもちして働いている場合、税金の計算が少しだけ複雑です。


たとえば3つの職場で給料が各80万円ずつだったとき、それぞれの給料からそれぞれの税金を計算するわけではなく、3つの給料を足し合わせた金額をもとに税金の計算をすることになります。

〇正しい税金計算
それぞれの勤務先の給料が各80万円だとしたら、合計収入240万円として税金の計算をする。


×間違った税金計算
それぞれの勤務先の給料が各80万円だとしたら、それぞれの勤務先で収入80万円として税金の計算をしてしまう。
※1年間の収入が103万円以下だと所得税がかからないので、間違った税金計算をしてしまうと脱税になる恐れがある。

では次に、3つの勤務先から給料をもらっている場合の税金を計算していきます。具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。


3つの勤務先から給料をもらっている場合のシミュレーション

3つのアルバイト先から給与収入をもらっている場合、3つの給料を合計してから税金を計算することになります。

アルバイトをかけもちしているときの税金は以下のように計算していきます。

1つめの勤務先の給料が1年間で80万円、2つめと3つめの給料が70万円だったとしてシミュレーションしています。

3つの勤務先から給料をもらっている場合の計算例

たとえば1つめの勤務先の給料が1年間で80万円、2つめと3つめの給料が70万円だったとします。この場合それぞれの給料を足し合わせると220万円となります。この金額をもとに税金を計算することになります。


①まず給与所得を計算する
2つの勤務先の給与収入の合計が220万円とすると、給与所得は、

220万円給与収入74万円給与所得控除 = 146万円給与所得
給与所得については給与所得とは?を参照。

となります。他に所得がないので146万円が総所得金額となります。


②次に課税所得を計算する
総所得金額がわかったので、次に課税所得を計算します。所得控除を78万円とすると課税所得は、

146万円総所得金額78万円所得控除 = 68万円課税所得
所得控除とは:税金を安くしてくれるもの。ここでは計算をわかりやすくするために80万円としています。
課税所得とは:税金がかけられる所得のこと。

となります。

③次に所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

68万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

68万円課税所得 × 5% = 34,000円所得税
所得税率については所得税の税率を参照。
所得税については所得税とは?を参照。

となります。以上のように、複数の勤務先から給料をもらっている場合はそれぞれを合計してから税金を計算することになります。
※ちなみに上記の場合、住民税約70,000円になります。

では次に、3つの勤務先で働いている場合の社会保険について下記で説明していきます。


社会保険は3つの勤務先で加入するの?
社会保険の加入条件を満たしている勤務先で加入する

3つの勤務先で働いている方の社会保険については、加入条件を満たしている職場の社会保険に加入することになります。


たとえば他の勤務先で条件を満たしていなければ、片方だけ(本業の勤務先だけ)で社会保険に加入することになります。
※どの勤務先でも社会保険に入りたくない方は下記の記事をチェックしておきましょう。
バイト先の社会保険に入りたくない。デメリットは?



つまり、どの勤務先でも加入条件を満たしていなければ社会保険に加入する必要はありません。
※社会保険(健康保険と厚生年金)に加入しない場合は国民健康保険と国民年金に加入することになります。
※国民健康保険に加入しながら働いている方については下記の記事をチェックしておきましょう。
国保に加入しているフリーターや会社員の税金や手取りはいくら?


どの勤務先でも加入条件を満たしていない場合とは?

たとえば、3つの職場のいずれも1週間の勤務時間が20時間未満であったり、3つの職場のいずれも月収が88,000円未満である場合には、どの勤務先も社会保険の加入条件を満たしません。
※週の所定労働時間(勤務先の契約で定められた労働時間のこと)。
※社会保険の加入条件についてはこちらの記事で説明しています。

3つの職場で社会保険に加入する場合は?

3つの職場で加入条件を満たした場合には届出を提出する必要があるので気をつけましょう。
※「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を本人が年金事務所へ提出する必要があります。何もわからないひとにとっては「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の手続きが難しいかもしれません。自分でややこしい手続きをしたくない場合、3つの勤務先で社会保険の加入条件を満たすことはあまりオススメしません。
※参照:日本年金機構複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き

社会保険料はどうなる?
ダブルワークの社会保険料はどうなる?

たとえば1つめの勤務先の年収が150万円、もう2つの勤務先の年収が20万円としたとき、年収150万円の勤務先で社会保険に加入することになります。
※1つの職場でのみ社会保険の加入条件を満たしている場合。


この場合、年収150万円のほうの月収をもとに社会保険料が決まります。
標準報酬月額


1つの勤務先だけで社会保険に加入している場合は、3つの給料の合計額をもとに社会保険料が決まるわけではありません。
※3つの給料の合計で保険料が決まってしまったら、社会保険料の半分を負担することになる会社側が損してしまいます。
※もし、それぞれの職場で社会保険の加入条件を満たしており、3つの勤務先で社会保険に加入した場合は、それぞれの収入をもとに3つの勤務先で社会保険料を按分することになります。


あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険に加入している場合

3つの職場の合計年収が130万円未満であり、あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは配偶者の社会保険の扶養に入ることができます。
配偶者の社会保険の扶養に入れば、あなた自身が支払う社会保険料は0円になります(つまり、国民年金や健康保険料が0円になります)。
ただし、あなたの1年間の収入が130万円以上になると社会保険の扶養から外れるので、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります。


あなたに配偶者がおり、配偶者が国民年金と国保に加入している場合

3つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、配偶者が国民年金と国保に加入している場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。


あなたに配偶者がいない場合

3つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、あなたに配偶者がいない場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。

また、あなたの親族が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは親族の社会保険の扶養に入ることができます。そうでなければあなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。

では次に、3つの勤務先で働いている場合は年末調整をどこで行うのかについて下記で説明していきます。


年末調整はどっちで行う?
主な勤務先で年末調整をするが、基本的には確定申告が必要

アルバイトやパートをかけもちしている場合、年末調整主に勤めている職場でのみ行うことになります。すべての職場で行わないように気をつけましょう。

すべての職場でも年末調整を行ってしまうと所得控除が重複して適用されてしまうため、本来の税額よりも少なくなってしまう場合があります。


ただし、年末調整を3か所の勤務先に提出してしまったとしても確定申告をすれば問題ありません。

ちなみに、アルバイトやパートをかけもちしている場合、下記で説明しているように基本的に確定申告が必要になります。


住民税はどの勤務先で特別徴収される?

住民税は原則、主な勤務先(給与を多くもらっている職場)で特別徴収されることになっています。
※特別調整されない場合は、お住まいの市区町村から納付書が送られてくれるので納付書を用いて納めることになります。

確定申告しないとダメ?複数の職場で働いている場合
複数の勤務先で働く場合は確定申告が必要

確定申告とは簡単に説明すると、1年間の稼ぎを申告して税金を納める手続きのことです。

アルバイトやパートをかけもちしている場合、基本的には確定申告が必要になります。


片方の年末調整だけでは正確な税額が計算されないため、確定申告をして正確な税金を納めなければなりません。


ただし、下記で説明するように確定申告をしなくてもいいときがあるので覚えておきましょう。
※ただし、確定申告をすれば払い過ぎた税金が戻ってくる場合があるので、確定申告をすることをオススメします。確定申告のやり方は下記で説明しています。

確定申告をしなくてもいいときもある

3つの勤務先で働いている方でも以下の条件のどれかにあてはまるときには確定申告をする必要はありません。3つの勤務先で働いている方はチェックしておきましょう。

※確定申告をする場合は3つの勤務先の給料をすべて申告しなければいけません。
※出典:国税庁確定申告を要しない場合の意義


  • 給料を2つ以上の勤務先から受けており、年末調整されなかったほうの給料が1年間(1月~12月まで)で総額20万円以下のとき
  • 2つ以上の勤務先の給料の合計が1年間(1月~12月まで)で150万円以下のとき
    ※片方の勤務先で年末調整を受けている場合。
  • ※収入が給料だけの場合。
    ※出典:国税庁給与所得者で確定申告が必要な人

確定申告をしなくても住民税は勝手に引かれる?

複数の勤務先で給料をもらっており、主な勤務先でだけ住民税が天引きされている場合、その他の勤務先の給料についても、市区町村から主な勤務先に情報が伝達されます。
※その他の勤務先の給料の情報が給与支払報告書として市区町村に送られているため。

したがって、その他の勤務先の給料分の住民税が、翌年の住民税に反映されることになります。つまり、確定申告をしなくてもほかの勤務先で働いたぶんの住民税が主な勤務先で反映されて天引きされることになります。
※地方税法第321条の3
※ただし、確定申告をすれば払い過ぎた税金が戻ってくる場合があるので、確定申告をすることをオススメします。確定申告のやり方は下記で説明しています。

では次に、アルバイトなどを掛け持ちしている場合の確定申告のやり方について下記で説明していきます。


アルバイトを掛け持ちしている場合の確定申告のやり方

今はネットでかんたんに確定申告書を作成できます。作成した申告書を郵送して確定申告を終わらせましょう。

アルバイトやパートをかけもちしている場合の確定申告のやりかたは以下のページで説明しています。

源泉徴収票があれば申告書はかんたんに作成できるので安心してください。

確定申告のやりかた
確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。

確定申告のながれ
STEP➊源泉徴収票など必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送し、税金を支払う(または払い戻される)
くわしくは下記で説明しています。
勤務先が2ヶ所以上ある場合の確定申告のやりかた

もし、確定申告をするのが不安な方は試しにテキトーに金額を入力して申告書のつくりかたを練習してみてもいいかもしれません。
※税務署に郵送する申告書に正しい金額を入力すれば問題ないので、ためしに申告書を何枚も作ってみましょう。


ここまでのまとめ

ここまで説明したように、アルバイトやパートなどを2つ以上の職場でかけもちしている場合、それぞれの給料を合計してから税金の計算をすることになります。

したがって、それぞれの勤務先で年末調整をしてしまうと脱税になってしまう可能性があるので注意しましょう。

また、稼いだ金額によっては確定申告をしなくていい場合があることも覚えておきましょう。

職場をかけもちしている場合のまとめ

  • 3つの職場で勤務している場合は給料を合算してから税金の計算をする。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 年末調整は主に勤務している職場で行う。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 加入条件を満たしていなければ社会保険は加入しないでいい。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 基本的に確定申告が必要。ただし、年収が合計150万円以下などの場合、確定申告をしなくてもいいときがある。
    ※くわしくは上記で説明しています。

3つの勤務先で働いている方は上記のまとめを覚えておきましょう。年末調整を複数の勤務先で行ってしまっても、確定申告をすれば問題ないので安心してください。