アルバイトを3つかけもちしている場合の社会保険や税金は?

2021.09.25 更新
パートやアルバイトなどを3つかけもちしている方は税金などの扱いが少し複雑です。知らないうちに脱税をしている場合もあるかもしれません。この記事では給料を3か所の勤務先からもらっている場合の税金や社会保険などについてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
3ヶ所でパートやアルバイトをしているときの税金はどうなる?

3つの職場でアルバイトやパートなどをかけもちして働いている場合、税金の計算が少しだけ複雑です。


たとえば3つの職場で給料が各80万円ずつだったとき、それぞれの給料からそれぞれの税金を計算するわけではなく、3つの給料を足し合わせた金額をもとに税金の計算をすることになります。

〇正しい税金計算
それぞれの勤務先の給料が各80万円だとしたら、合計収入240万円として税金の計算をする。


×間違った税金計算
それぞれの勤務先の給料が各80万円だとしたら、それぞれの勤務先で収入80万円として税金の計算をしてしまう。
※1年間の収入が103万円以下だと所得税がかからないので、間違った税金計算をしてしまうと脱税になる恐れがある。
3つの勤務先から給料をもらっている場合の計算例

たとえば1つめの勤務先の給料が1年間で80万円、2つめと3つめの給料が70万円だったとします。この場合それぞれの給料を足し合わせると220万円となります。この金額をもとに税金を計算することになります。


①まず給与所得を計算する
2つの勤務先の給与収入の合計が220万円とすると、給与所得は、

220万円給与収入74万円給与所得控除 = 146万円給与所得
給与所得については給与所得とは?を参照。

となります。他に所得がないので146万円が総所得金額となります。


②次に課税所得を計算する
総所得金額がわかったので、次に課税所得を計算します。所得控除を78万円とすると課税所得は、

146万円総所得金額78万円所得控除 = 68万円課税所得
所得控除とは:税金を安くしてくれるもの。ここでは計算をわかりやすくするために80万円としています。
課税所得とは:税金がかけられる所得のこと。

となります。

③次に所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

68万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

68万円課税所得 × 5% = 34,000円所得税
所得税率については所得税の税率を参照。
所得税については所得税とは?を参照。

となります。
※ちなみに上記の場合、住民税は約70,000円になります。

では次に、3つの勤務先で働いている場合の社会保険について下記で説明していきます。

社会保険は3つの勤務先で加入するの?

3つの勤務先で働いている方の社会保険については、加入条件を満たしている職場の社会保険に加入することになります。


つまり、どの勤務先でも加入条件を満たしていなければ社会保険に加入する必要はありません。
※社会保険(健康保険と厚生年金)に加入しない場合は国民健康保険と国民年金に加入することになります。


ただし、2つ以上の職場で加入条件を満たした場合には届出を提出する必要があるので気をつけましょう。
※「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所へ提出する必要があります。ただし、副業が禁止されている場合、2つの勤務先で社会保険の加入条件を満たしてしまうと届出を申請する際にダブルワークをしていることがバレてしまうので気をつけましょう。また、何もわからないひとにとっては「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の手続きが難しいと思うので、2つ以上の勤務先で社会保険の加入条件を満たすことはあまりオススメしません。

社会保険料はどうなる?
1つの勤務先で社会保険の加入条件を満たしているとき
たとえば1つめの勤務先の年収が150万円、もう2つの勤務先の年収が20万円としたとき、年収150万円の勤務先で社会保険に加入することになります。
ちなみに、保険料は年収150万円のほうの月収をもとに社会保険の保険料が決まります。

※3つの給料の合計額をもとに社会保険料が決まるわけではありません。
※社会保険の加入条件についてはアルバイトでも?社会保険の加入条件は?を参照。


あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険に加入している場合

3つの職場の合計年収が130万円未満であり、あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは配偶者の社会保険の扶養に入ることができます。
配偶者の社会保険の扶養に入れば、あなた自身が支払う社会保険料は0円になります(つまり、国民年金や健康保険料が0円になります)。
ただし、あなたの1年間の収入が130万円以上になると社会保険の扶養から外れるので、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります。


あなたに配偶者がおり、配偶者が国民年金と国保に加入している場合

3つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、配偶者が国民年金と国保に加入している場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。


あなたに配偶者がいない場合

3つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、あなたに配偶者がいない場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。

また、あなたの親族が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは親族の社会保険の扶養に入ることができます。そうでなければあなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。

では次に、3つの勤務先で働いている場合は年末調整をどこで行うのかについて下記で説明していきます。


年末調整はどっちで行う?

アルバイトやパートをかけもちしている場合、年末調整主に勤めている職場でのみ行うことになります。2つの職場で行わないように気をつけましょう。

どちらの職場でも年末調整を行ってしまうと所得控除が重複して適用されてしまうため、本来の税額よりも少なくなってしまう場合があります。


ただし、年末調整を2か所の勤務先に提出してしまったとしても確定申告をすれば問題ありません。

ちなみに、ダブルワークなどでアルバイトやパートをかけもちしている場合、下記で説明しているように基本的に確定申告が必要になります。

確定申告しないとダメ?複数の職場で働いている場合

確定申告とは簡単に説明すると、1年間の稼ぎを申告して税金を納める手続きのことです。

アルバイトやパートをかけもちしている場合、基本的には確定申告が必要になります。片方の年末調整だけでは正確な税額が計算されないため、確定申告をして正確な税金を納めなければなりません。


ただし、下記で説明するように確定申告をしなくてもいいときがあるので覚えておきましょう。

ダブルワークをしている場合の確定申告のやりかたは以下のページで説明しています。

確定申告のやりかた
今はネットでかんたんに確定申告書を作成できます。作成した申告書を郵送して確定申告を終わらせましょう。
また、確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。


確定申告のながれ
STEP➊源泉徴収票など必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送し、税金を支払う

確定申告をしなくてもいいときもある

3つの勤務先で働いている方でも以下の条件のどれかにあてはまるときには確定申告をする必要はありません。3つの勤務先で働いている方はチェックしておきましょう。


  • 給料を2つ以上の勤務先から受けており、年末調整されなかったほうの給料が1年間(1月~12月まで)で総額20万円以下のとき
  • 2つ以上の勤務先の給料の合計が1年間(1月~12月まで)で150万円以下のとき
    ※片方の勤務先で年末調整を受けている場合。
  • 参照:国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人ページ

アルバイトのかけもち等はバレてしまう?

複数の勤務先でアルバイトやパートをしているような場合、基本的には自分で確定申告をして税金を納めなければなりません。
ただし、確定申告をすると翌年度から勤務先が徴収する住民税の金額が他の社員よりも多くなるので、ダブルワークをして稼いでいることがバレてしまう可能性があります。

また、アルバイトなどのダブルワークの場合は副業のように住民税を自分で納付することが選択できないので、確定申告をしたらダブルワークをしていることが高確率でバレることになります。
したがって、副業が禁止されているような会社に勤めている場合には上記のように確定申告をしないで済むように稼ぐ金額を調整することをオススメします。

ここまでのまとめ

ここまで説明したように、アルバイトやパートなどを2つ以上の職場でかけもちしている場合、それぞれの給料を合計してから税金の計算をすることになります。

したがって、それぞれの勤務先で年末調整をしてしまうと脱税になってしまう可能性があるので注意しましょう。

また、アルバイトなどをかけもちしている場合は基本的に確定申告が必要になりますが、稼いだ金額によっては確定申告をしなくていい場合があることも覚えておきましょう。

職場をかけもちしている場合のまとめ

  • 3つの職場で勤務している場合は基本的に確定申告が必要
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 稼いだ金額によっては確定申告をしなくてもいいときがある
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 3つの職場で勤務している場合は給料を合算してから税金の計算をする
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 年末調整は主に勤務している職場で行う
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険は主に勤務している職場で加入する
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 加入条件を満たしていなければ社会保険は加入しないでいい
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 確定申告をするとダブルワークをしていることがバレる可能性が高いのでダブルワークを禁止されている方は注意
    ※くわしくはこちらのページで説明しています。

3つの勤務先で働いている方は上記のまとめを覚えておきましょう。また、確定申告をする場合は期限内になるべく終わらせましょう。期限を過ぎると延滞税などの罰則が与えられる場合があるので気をつけましょう。