自営業をしながらアルバイトを掛け持ちすると税金とかどうなる?

2021.10.10 更新
個人事業主などの自営業者が本業とは別にアルバイトをする場合、税金などの扱いが少し複雑になります。この記事では自営業をしながらアルバイトをしたときの税金や保険料などについて説明していきます。
この記事の目次
自営業をしながらアルバイトをすると税金や社会保険とかはどうなる?

個人事業主などの自営業者が本業とは別にアルバイトをする場合、税金などの扱いが少し複雑になります。

とはいえ、アルバイトをすれば定期的な収入が得られるので今後の生活が安定します。ほかにも、勤務先の社会保険に加入すれば保険料が安くなるメリットも受けられるかもしれません。

アルバイトをしようと考えている個人事業主は税金や社会保険、確定申告についてしっかりチェックしておきましょう。

この記事の要点

  • アルバイトをしている場合、事業所得と給与所得を合計して税金を計算しなければいけない。

  • アルバイトをすれば国民健康保険料が増える。

  • 個人事業主でもアルバイト先の社会保険に加入することができる。

  • 年末調整を受けても確定申告することになる。

  • 確定申告をする際は全ての収入を申告しなければならない。

では最初に、自営業などの個人事業主がアルバイトをしたときの税金について下記で説明していきます。アルバイトをして安定した収入が欲しいと考えている方はチェックしておきましょう。


個人事業主がアルバイトをしたときの税金の計算を間違えないようにしましょう

自営業などの個人事業主は、1年間の事業による収入を申告して税金を納めることになります。
※1年間の事業所得を申告して、その所得をもとに税金を計算して納める。

しかし、事業とは別にアルバイトをして給料をもらう場合は税金の計算のやりかたに注意しなければいけません。

事業をやりながらアルバイトもする場合は、まず事業による収入から事業所得を計算し、次にアルバイト収入から給与所得を計算し、それぞれの所得を合計してから税金を計算することになります。

アルバイトの収入も確定申告でしっかり報告することを忘れないようにしてください。

〇正しい税金計算
事業所得と給与所得それぞれの所得を合計してから税金の計算をする。


×間違った税金計算
アルバイト収入についての税金は源泉徴収や年末調整で済ませて、確定申告では事業所得だけ申告して税金の計算をする。
※1年間のアルバイト収入が103万円以下だと所得税がかからないので、間違った税金計算をしてしまうと脱税になる恐れがある。

では次に、事業による収入とアルバイトによる給与収入をもらっている場合の税金計算について下記で説明していきます。具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているので気になる方はチェックしておきましょう。

個人事業主がアルバイト先で給料をもらっている場合のシミュレーション

事業による収入とアルバイトによる給与収入をもらっている場合、2つの所得を合計してから税金を計算することになります。

事業とアルバイトをしているときの税金は以下のように計算していきます。

事業とアルバイトをしているときの所得税をシミュレーション

たとえば事業による収入が1年間で150万円、アルバイト先の給料が1年間で90万円だったとします。この場合それぞれの所得を計算し、その所得を合計してから税金を計算することになります。


①まず事業所得を計算する
事業による収入が1年間で150万円(経費50万円)とすると、事業所得は、

150万円事業収入50万円経費 = 100万円事業所得
事業所得については事業所得とは?を参照。

となります。次に給与所得を計算します。


②給与所得を計算する
1年間のアルバイト収入が90万円とすると、給与所得は、

90万円給与収入55万円給与所得控除 = 35万円給与所得
給与所得については給与所得とは?を参照。

となります。次に各所得を合計します。


③所得を合計する(総所得金額を計算する)
事業所得が100万円、給与所得が35万円なので総所得金額は以下のようになります。

100万円事業所得 + 35万円給与所得 = 135万円総所得金額
総所得金額とは:各種所得の合計のこと(一部所得を除く)。

④次に課税所得を計算する
総所得金額がわかったので、次に課税所得を計算します。所得控除を48万円とすると課税所得は、

135万円総所得金額48万円所得控除 = 87万円課税所得
所得控除とは:税金を安くしてくれるもの。ここでは計算をわかりやすくするために基礎控除48万円のみとしています。
課税所得とは:税金がかけられる所得のこと。

となります。

⑤次に所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

87万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

87万円課税所得 × 5% = 43,500円所得税
所得税率については所得税の税率を参照。
所得税については所得税とは?を参照。

となります。
※ちなみに上記の場合、住民税は約90,000円になります。

以上のように、それぞれの収入から所得を計算し、合計してから税金を計算することになります。

では次に、事業とアルバイトをかけもちしている場合の保険料について下記で説明していきます。勤務先の社会保険に加入しようと考えている方はチェックしておきましょう。


年金や健康保険などの社会保険料はどうなる?

自営業の方などは国民健康保険に加入して保険料を支払うことになりますが、かけもちでアルバイトもしている方は保険料が増えることになります。
※アルバイトの給与収入が1年間で55万円以下なら給与所得が0円になるので国民健康保険料は変わりません。


ただし、長時間アルバイトをして勤務先の社会保険(厚生年金と健康保険)に加入することになれば社会保険料を支払うことになります。


下記で「国民年金と国民健康保険に加入する場合」および「アルバイト先の社会保険に加入する場合」のそれぞれのケースで保険料をシミュレーションしているので比較してみましょう。

国民年金と国民健康保険に加入する場合

アルバイトをする前と後で保険料を比較しています。下記のように給与所得が増えることで保険料も増えます。



アルバイトをする前
1年間の事業収入を200万円(経費50万円)とすると、国民健康保険料は約15万円となります。そして、国民年金は約20万円なので1年間の保険料は35万円となります。
※独身、40歳未満、世田谷区として計算。国民健康保険料のシミュレーションはこちらで行えます。
※国民年金の免除をしていない場合として計算しています。



アルバイトをしている場合
1年間の事業収入を200万円(経費50万円)、アルバイト収入が100万円とすると、国民健康保険料は約20万円となります。そして、国民年金は約20万円なので1年間の保険料は40万円となります。
※独身、40歳未満、世田谷区として計算。国民健康保険料のシミュレーションはこちらで行えます。
※国民年金の免除をしていない場合として計算しています。


アルバイト先の社会保険に加入する場合

アルバイトをする前と後で保険料を比較しています。下記のようにアルバイト先の社会保険に加入することで保険料は減っています。
なぜかというと、勤務先の社会保険料は給料のみによって決定されるためです。

※個人事業主だとしても加入条件を満たせばアルバイト先の社会保険に加入することができます。



アルバイトをする前
1年間の事業収入を200万円(経費50万円)とすると、国民健康保険料は約15万円となります。そして、国民年金は約20万円なので1年間の保険料は35万円となります。
※独身、40歳未満、世田谷区として計算。国民健康保険料のシミュレーションはこちらで行えます。
※国民年金の免除をしていない場合として計算しています。



アルバイト先の社会保険に加入した場合
1年間の事業収入を200万円(経費50万円)、アルバイト収入が200万円とすると、社会保険料は約29万円となります。
※合計所得は350万円になりますが、保険料は勤務先の給料によって決定するので、事業収入があっても保険料には関係ない。
※社会保険料は健康保険と厚生年金の合計となっています。
※社会保険料のシミュレーションはこちらで行えます。

では次に、アルバイトもしている個人事業主は年末調整を受けてもいいのかについて下記で説明していきます。年末調整についてよくわかっていない方はチェックしておきましょう。


アルバイト先で年末調整を受けてもいいの?

年末調整とは、給料から源泉徴収される税金額が多すぎたり少なかったりしたときに年末最後に給料等の支払者(会社など)が過不足を調整してくれる制度です。


自営業などの個人事業主がアルバイトをかけもちしている場合、年末調整は受けても受けなくてもどちらでも構いません。


なぜかというと、個人事業主は毎年かならず確定申告をするためです。確定申告で正確な税金額を納めているので問題ありません。


年末調整を受けるように勤務先から言われた場合は年末調整の書類を提出するようにしましょう。ただし、年末調整を受けたからといって確定申告の際にアルバイト先の収入を申告しなくてもいいわけではないので気をつけてください。くわしくは下記で説明していきます。

確定申告がアルバイト前と変わるので注意

自営業などの個人事業主がアルバイトもしている場合、確定申告で申告する項目が変わります。

アルバイト先の給料をもらうことになるので、「本業の事業所得とアルバイトの給与所得」を確定申告で申告しなければいけません。

注意しなければいけないポイントは、アルバイト先で年末調整を受けたからといって確定申告でアルバイト先の給料を申告せずにいると脱税になってしまう可能性があることです。

アルバイト先の給料も確定申告で申告しなければいけないのはなぜ?

サラリーマンやアルバイトなどの方は年末になると年末調整を受けることになります。年末調整で正確な税金額を調整してもらうのでサラリーマンやアルバイトなどの方は確定申告を受ける必要がありません。

ですが、給料以外の収入がある方は確定申告ですべての所得を申告して正確な税金額を納めることになります。つまり、自営業などの個人事業主はアルバイト先で年末調整を受けたとしても確定申告で給与所得を申告しなければいけません。

なぜかというと、年末調整を受けたからといって確定申告をする際にアルバイト先の給料を申告しないと、所得控除が重複して適用されてしまうため、本来の税額よりも少なくなってしまう可能性があるためです。

したがって、アルバイトもしている個人事業主は確定申告ですべての収入をしっかり申告することを忘れないようにしましょう。

以上のように、アルバイトもしている個人事業主は脱税をしないように注意しましょう。ちゃんと申告しないと延滞税など罰則を受けることになります。


ここまでのまとめ

ここまで説明したように、自営業などの個人事業主がアルバイトをかけもちしている場合、税金の計算などが少し複雑になります。

また、場合によってはアルバイト先の社会保険に加入することで保険料が安くなるメリットを受けることもできます。

アルバイトをして安定した収入が欲しいと考えている個人事業主は下記のまとめをチェックしておきましょう。

ここまでのまとめ

  • アルバイトをしている場合、事業所得と給与所得を合計して税金を計算しなければいけない。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • アルバイト先の社会保険に加入したときは社会保険料を支払うことになる。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険料は給料の多さによって決まるので、事業による収入があっても社会保険料には関係ない。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 確定申告をする際は全ての収入を申告しなければならない。
    ※くわしくは上記で説明しています。

アルバイトをしている個人事業主は上記のまとめを覚えておきましょう。年末調整を受けたとしても確定申告をする際は全ての収入を申告することはしっかり覚えておきましょう。申告しないと脱税になってしまう場合があるので気をつけましょう。