障害者控除とは?障害をもつ方は税金の負担が軽くなります。申請のやり方は?

2022.05.09 更新
働いてお金を稼げば納めなければならない税金。そんな税金の負担を軽くしてくれる障害者控除について知っていますか?この記事では障害者控除について簡単に紹介していきます。
この記事の目次
障害者控除とは?

障害者控除しょうがいしゃこうじょとは簡単に説明すると、障害を持つひとの税金の負担を軽くしてくれる制度です。
※また、障害を持つひとが家族にいる場合でも税金の負担を軽くしてくれます。くわしくは下記で説明しています。

障害者控除を受けようと考えている方は「受けるための条件」や「安くなる金額」などについてしっかりチェックしておくことをおすすめします。

この記事の要点

  • 障害者控除は障害をもつ方の税金を安くしてくれる制度。

  • 本人以外の親族が障害をもっている場合でも障害者控除を適用できる。

  • 障害者控除を利用すると、税金は約4万円~8万円安くなる場合が多い。

  • 区分が特別障害者の場合、税金は約5万円~11万円安くなる場合が多い。

  • 障害者控除を利用するには申請が必要。

では最初に、親族に障害をもつ方がいる場合の障害者控除について下記で説明していきます。親族に障害をもつ方がいる場合はチェックしておきましょう。


親族に障害をもつ方がいる場合でも?
自分以外の親族も障害者控除の対象になる

障害者控除は障害をもっている方の税金を安くしてくれる制度ですが、障害をもつ方が親族にいる場合でも控除を適用できます。


たとえば、あなたの配偶者(妻または夫)が障害をもっている場合、あなたが障害者控除を申請すればあなたの税金が安くなります。


ただし、親族を対象に障害者控除を適用するには下記の条件にあてはまらなければいけません。

親族を対象に障害者控除を適用する条件

配偶者の場合
障害をもつ方が同一生計配偶者であること。
※同一生計配偶者とは、かんたんに説明すると1年間の合計所得が48万円以下(給料のみなら103万円以下)の配偶者のこと。くわしくは同一生計配偶者とはを参照。



配偶者以外の親族の場合
障害をもつ方が扶養親族であること。たとえば子供や親などのこと。
※扶養親族とは、かんたんに説明すると1年間の合計所得が48万円以下(給料のみなら103万円以下)の親族のこと。くわしくは扶養親族とはを参照。
※出典:国税庁障害者控除


合計所得金額48万円とは?

例えば、あなたの子供の収入がアルバイトの給与収入のみであり、1年間(1月~12月まで)の収入が103万円のとき、給与所得は48万円となります。それ以外に所得がないので合計所得金額は48万円となります。この場合、あなたの子供は扶養親族の対象になります。

103万円給与収入55万円給与所得控除 = 48万円給与所得(合計所得金額)
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。

※給与所得以外の所得がある場合の「合計所得48万円の計算方法」については所得48万円を超えると扶養してくれている親族の税金が上がる?で説明しています。雑所得などがある場合はチェックしておきましょう。

では次に、障害の区分について下記で説明していきます。障害の区分によって控除額が変わります。


障害の区分は?控除の金額はいくら?

障害者控除の金額は以下のようになっています。

たとえば、区分が特別障害の方は控除額は40万円になります。控除額が大きいほうが税金が安くなる効果が大きくなります。

また、特別障害をもつ方と同居している場合には控除額が75万円になります。

障害者控除の金額は以下のとおり

※出典:国税庁障害者控除

障害者控除の金額
障害者控除の金額


障害または特別障害の判定

対象者が障害か特別障害かの判定は以下のようになっています。

障害か特別障害かの判定
障害か特別障害かの判定
いつの時点の障害が対象?

障害者控除がいつの時点の障害に応じて利用できるのかというと、その年の12月31日時点の障害の状況によって判定されます。

たとえば2021年6月から障害者手帳の交付を受けた場合、2021年分(1月~12月まで)の収入に対して障害者控除を利用することができます。

※年末調整や確定申告などで申告するタイミングで、まだ障害者手帳の交付を受けていない場合でも、交付申請中であったり、下記の区分にあてはまる障害を有していることが明らかな場合は障害者控除を適用できます。
※参照:国税庁障害者控除の適用を受けることのできる年分
※参照:国税庁身体障害者手帳等の交付を申請中である場合の障害者控除の適用について

では次に、障害者控除を利用するとどれくらい税金が安くなるか下記で説明していきます。年収や障害の区分によって安くなる金額が変わるのでチェックしておきましょう。


控除を利用でどのくらい安くなる?
障害者控除で安くなる金額は約4万円~8万円

年収にもよりますが、障害者控除を利用すると税金の負担は約4~8万円ほど軽くなる方が多いと思います。
※これから控除を受ける方は約4~8万円の税金が戻ってくることになります。
※特別障害者の場合は約5~20万円安くなります。


税金がいくら戻るのか以下の表に年収250万円~900万円にわけてまとめています。

40歳以下・社会保険加入という条件の方が障害者控除を利用したとしてシミュレーションしています。

それぞれ区分別にまとめているので障害者控除を利用する予定の方はチェックしておきましょう。

障害者控除でどれくらい安くなる?
たとえば40歳以下・社会保険加入という条件の方が障害者控除を利用したとき。
※金額はおおよそです。

区分が障害者の場合

障害者控除を利用する人の年収 減額される税金
年収250~400万円のとき 所得税は13,500円安くなります。
住民税は26,000円(固定)安くなります。
年収500~600万円のとき 所得税は27,000円安くなります。
住民税は26,000円(固定)安くなります。
年収700~900万円のとき 所得税は54,000円安くなります。
住民税は26,000円(固定)安くなります。

※税金はこちらのページでシミュレーションしました。


区分が特別障害者の場合

障害者控除を利用する人の年収 減額される税金
年収250~400万円のとき 所得税は20,000円安くなります。
住民税は30,000円(固定)安くなります。
年収500~600万円のとき 所得税は40,000円安くなります。
住民税は30,000円(固定)安くなります。
年収700~900万円のとき 所得税は80,000円安くなります。
住民税は30,000円(固定)安くなります。

※税金はこちらのページでシミュレーションしました。


区分が同居特別障害者の場合

障害者控除を利用する人の年収 減額される税金
年収250~430万円のとき 所得税は37,500円安くなります。
住民税は53,000円(固定)安くなります。
年収540~600万円のとき 所得税は75,000円安くなります。
住民税は53,000円(固定)安くなります。
年収740~940万円のとき 所得税は150,000円安くなります。
住民税は53,000円(固定)安くなります。

※税金はこちらのページでシミュレーションしました。

では次に、障害を持っている方は住民税が非課税(0円)になる場合について下記で説明していきます。

住民税が非課税(0円)になるときがある?

障害を持っている場合、前年(1月~12月まで)の合計所得が135万円以下の場合、住民税が非課税(0円)になります。


合計所得135万円とは、給料のみで年収約204万円になります。ほかに所得がある場合は、それぞれの所得を合計した金額が合計所得金額になります。
※くわしくは合計所得金額とはを参照。


ただし、合計所得が135万円を超える場合には通常と同じように住民税が課税されます。
※独身の場合。
※たとえば、給料のみで年収250万円や300万円以上稼いでいる場合は、住民税が非課税にならないことを覚えておきましょう。

くわしくは下記の記事で説明しています。
住民税がかからない?住民税が0円になるとき。


では次に、障害者控除を利用したときの税金の計算過程について下記で説明していきます。具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているので気になる方はチェックしておきましょう。


障害者控除込みで所得税をシミュレーション。計算過程を知っておこう

では、会社員が障害者控除を利用したときの税金をシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。


この条件で所得税はいくらになる?
たとえば1年間の収入が給与収入のみで300万円、所得控除が75万円(48万円基礎控除 + 27万円障害者控除)の場合。


①まずは給与所得の計算
上記の条件のとき、給与所得は、

300万円給与収入98万円給与所得控除  =  202万円給与所得
給与所得控除については給与所得とは?を参照。

となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。

②課税所得を計算
総所得金額は計算できたので(202万円)、次に課税所得を計算します。課税所得は、

202万円総所得金額 - 所得控除 = 課税所得
総所得金額とは:各種所得の合計(一部所得は除く)。
課税所得については課税所得とは?を参照。

となります。

最初に決めた条件から、所得控除は75万円(48万円基礎控除 + 27万円障害者控除)なので、課税所得は、

202万円総所得金額75万円所得控除 = 127万円課税所得
課税所得については課税所得とは?を参照。

となります。

③所得税を計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

127万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

127万円課税所得 × 5% = 63,500円所得税
所得税率については所得税率って?を参照。
所得税の計算についてはこちらを参照。

ちなみに上記の条件のとき住民税約13万円かかります。

となります。

障害者控除を適用しない場合は?
障害者控除を申請しなければ、そのぶん課税所得は増えるので、

(127万円 + 27万円)課税所得 × 5% = 77,000円所得税

ちなみに上記の条件のとき住民税約16万円かかります。

となり、障害者控除を申請したときと比べて所得税が増えてしまいます。以上のように、控除してくれるおかげで税金が安くなっていることがわかります。

障害者控除を受けるつもりの方は年末調整または確定申告のときに申請を忘れないようにしましょう。申請方法については下記で説明していきます。


年末調整での障害者控除の申請は?

障害者控除を受けると、税金が安くなるメリットを受けられます。障害をもっている方のための制度なので、該当する場合は必ず受けましょう。
※税金がどのくらい戻るかは上記で説明しています。

障害者控除を適用するには年末調整で障害者控除の申請をしなければなりません。

以下のページで年末調整の書き方と障害者控除の申請方法を説明しています。障害者控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。
※もし控除の申請を忘れてしまっても、あとから確定申告で修正申告すれば受けることが出来ます。

年末調整で障害者控除の申請をする方はこちら
障害者控除の申請方法については、障害者控除の申請(年末調整の記入例)を参照。
年末調整の書き方については、年末調整の書き方見本・記入例を参照。
確定申告での障害者控除の申請は?

障害者控除を受けると、税金が安くなるメリットを受けられます。障害をもっている方のための制度なので、該当する場合は必ず受けましょう。
※税金がどのくらい戻るかは上記で説明しています。


障害者控除を利用できる方は確定申告で申請をしましょう。確定申告の手順などは以下のページで説明しています。
※もし控除の申請を忘れてしまっても、あとから確定申告でさかのぼって修正申告すれば受けることが出来ます。ただし、過去の年の修正申告をする場合は、各年の必要書類(源泉徴収票など)を用意する必要があります。


今はネットでかんたんに確定申告書が作成できます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。
※e-Taxで申告すればネットで確定申告を完結することができます。

確定申告書の作成ページで障害者控除を入力する

確定申告で障害者控除を申請するのは難しくないので安心してください。下記のように選択するだけです。
※妻や夫が障害を持っている場合は、配偶者控除の項目で申請できます。
※親族が障害を持っている場合は、扶養控除の項目で申請できます。

ネットやスマホでも申告できる?
2020年からマイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、ネットやスマホで確定申告を完結することができるようになりました。
※スマホの場合は、マイナンバーカードとICカードの読み取りができるスマホ。
※参照:e-Tax個人でご利用の方 確定申告を行う


ただし、マイナンバーカードを持っていなかったり、ICカードを読み取る機器を持っていない場合は、税務署に申告書を郵送して確定申告を終わらせましょう。
確定申告のやり方・手順

勤務先が1ヶ所で会社員などの方の確定申告の手順
そのほかアルバイトやダブルワークをしていたり、年金や雑所得などがある方の確定申告のやり方はこちらでパターン別にまとめています。

もし、確定申告をするのが不安な方は試しにテキトーに金額を入力して申告書のつくりかたを練習してみてもいいかもしれません。
※税務署に郵送する申告書に正しい金額を入力すれば問題ないので、ためしに申告書を何枚も作ってみましょう。


ここまでのまとめ:区分によって金額が変わるのでシミュレーションしてみましょう

ここまで説明したように、障害者控除は障害をもっている人もしくは障害をもっている人が親族にいる方の税金を安くしてくれます。

また、障害の区分によって控除される金額が変化するので安くなる税金額が変わります。

どれくらい税金が安くなるのか不安なひとは下記のページでシミュレーションしておきましょう。

自分の年収から1年間の税金や手取りなどがザッとシミュレーションできるので、障害者控除を利用するひとは計算しておくといいかもしれません。

また、障害者控除を利用する際は申請が必要になることも覚えておきましょう。年末調整または確定申告をするときに障害者控除の申請も忘れずにしましょう。

もし忘れてしまったとしても、あとからさかのぼって確定申告をもう一度して修正すれば障害者控除が適用されるので安心してください。
※確定申告のやり方は上記で説明しています。